ダビデは勇猛さと繊細さを兼ね備え、イスラエルをペリシテ人の侵略から救い、王に見出され側近として仕え、国民から絶大な人気を集めていた人物。預言者サムエルによって主が油を注ぎ、サウルから離れた主の霊が注がれ、また主によって愛されている人物。アドラムのほら穴はそのような人物が住まうような場所ではない。しかしながらダビデの生涯においてもっとも苦難の放浪期がこのアドラムのほら穴からはじまっていく。
多くの人々が彼を慕い、取り囲んでいたが、それでもダビデはその国の最高権力者から追われる身。宮殿の中にいたものがほら穴暮らしを余儀なくされている状況をみて、普通であれば決してこの先を前向きに、肯定的に見ることなどできないような状況。
私達の生涯は、平坦・順調・希望に満ち溢れているようなときばかりではない。たとえ望まなくとも時に逆境・困難・試練を通ることもあり、その中で希望を見出せず絶望を覚えるものもいるかもしれない。しかしそのような状況においても肯定的であったダビデの態度や思いは、私達が同様の状況にいる時にそれを乗り越える術を教えている。
信仰の告白と再確認(v7)自らを奮い立たせ、勝利と解放の祈りによって(v8)賛美と感謝によって(v9,10)そして主に栄光を帰すことによって。(v11)ダビデは恵みを確信してほら穴から歩み出て行くことができた。
そのようなダビデを主は愛し、ダビデの信仰を主は義なるものとされ、主の守りと恵みが確かにこの後のダビデの生涯に注がれ、聖書の中においてももっとも素晴らしい祝福と恵みを受ける一人となる。
今も生きておられる万物の支配者であられる主は私達が逆境、困難、試練、の中にいる時であっても、私たちの信仰、主におく信頼、恐れからの解放によって私達をもダビデのように顧みて、希望と回復、恵みで満たしてくださる。
私達の主は今も生きておられて、私達の望みである主に信頼をするとき、絶望に終わることは無い。